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スティッフ・リトル・フィンガーズは戦火の絶えることのない街、北アイルランドのベルファスト出身のパンク・バンドだ。オリジナル・パンクからハードコア・パンクに向かう端境期、その熱い激情とエネルギッシュで力強い咆哮で一瞬の花火のように燃えさかった彼らのことを忘れることはできない。
もとはハイウエイ・スターという凡庸なハード・ロック・バンドだった彼らは77年、クラッシュのギグに触発され、それまで肩まであった髪をばっさりと切り落とし、スティッフ・リトル・フィンガーズとして生まれ変わった。おそらくイギリス中に、いや世界中に何千何万といた若僧どものひとりだったのである。中心人物はギター/ヴォーカルのジェイク・バーンズ。
自主制作で発表したシングル「サスペクト・ディヴァイス」は、戦火に荒れ果てた故郷ベルファストの光景を見ながら作り上げた彼ら初のオリジナル曲だったが、これが著名なDJジョン・ピールの目に留まり、彼の番組でヘヴィ・ローテーションされて大反響を呼び、これをきっけに<ラフ・トレイド>と契約する。同レーベルのLP第一弾として発表された1stアルバム『Inflamable Material』(79年)には、彼らのすべてが詰まっている。
バリバリに歪んだギター、小細工なしに押しまくる演奏、噛みつくようなヴォーカル、直情的な政治的メッセージを真っ向から叩きつける歌詞など、当時の純情なパンク青年たちのひたむきな熱意と誠実さが一杯に詰まった、まさに入魂の1枚。クラッシュが方向転換し、シャム69が迷走気味で沈滞期に入っていたストレート・パンク・シーンの期待を彼らは一身に背負って奮闘していたのである。
だがその炎の輝きは、一瞬のものであったからこそひときわ熱く、美しかったのかもしれない。アルバムを追うにつれポップ化していく彼らと入れ替わるように、より過激で徹底したサウンドとメッセージをもつハードコア・パンクのムーヴメントが襲来、居場所がなくなった彼らはシーンの一線から後退していき、結局82年に解散。その後87年に再結成し現在も活動を続けているが、往時の輝きはすでにない。 (小野島 大)

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