Stephane Grappelliの記事一覧

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楽器に卓越した技術をもつ者は、その音色がより“声”に近づいていく。その傾向は特に古い年代の人に多い。ステファン・グラッペリはまさにそういうアーティストであった。08年に生まれ、97年に亡くなるまでの89年間、ヴァイオリンを自らの声として奏で続け、聴く人の心へ訴えかける“愛”溢れる調べを紡ぎだしてきたのだ。
39年、弦楽器のみ(ギター3台、ヴァイオリン、ベース)の画期的ジャズ・バンド——クインテット・オブ・ザ・ホット・クラブ・オブ・フランスを、天才ジプシー・ギタリストであるジャンゴ・ラインハルトらと共に結成した彼は、またたく間にヨーロッパ全土にその名をとどろかせた。そして、そこでの活動をベースにジャズ/クラシック/ポピュラー/フュージョンという多様な分野で活動の幅を広げていく。また、年齢を追うごとに味わいを深める彼の音楽は、決して高尚/難解なものではなく、聴くものがリラックスできる“単純明快な芸術”へと昇華されているといえる。
今ごろ天国でジャンゴと再会を果たし、気ままに愉快に演奏していることを願って止まない。

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