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コモン/ファーサイド/トライブ・コールド・クエスト/デ・ラ・ソウル/バスタ・ライムズ/ディアンジェロ……というアーティストたちのトラックを手がけ、クオリティの高いサウンド・メイキングで名の知れた男、ジェイ・ディー。トライブ・コールド・クエストのQ・ティップ&アリらと共にウマーなるプロデュース・チームを組んでいたことでも知られるトラック・メイカーである(ソウルクエリアンズのメンバーでもある。近頃ではマッドリブとジェイリブとしても活躍)。
そんな彼が、地元デトロイトのラッパーふたり(バーティン&T3)を従えてスラム・ヴィレッジを結成、デビュー・アルバム『ファンタスティック,vol.2』(00年)を発表した(『〜vol.1』はテープ&アナログ盤のみ。J-88名義作で一部披露された)。このアルバムでは、それまでのプロダクションにも見られた極端に音数の少ないクールでドライなビートを展開。スモーキーで刺激的なビートは、どこか心地よいファンクネスを秘めるものだ。そして、そのオリジナリティに溢れるビート上を浮遊感あるエレピ/シンセ音が舞い踊る。が、けして“洗練”や“オシャレ”という言葉が似つかわしいものではなく、もっと粗野でメタリックでダーティでドラマティックなものである。
その後、ジェイ・ディーやバーティンの脱退(ジェイ・ディーは現在でもプロデューサーとして深く関与)、ラッパー=エルザイの加入などを経て、現在の態勢に。プラティナム・パイド・パイパーズ(メンバーのワジードはスラム・ヴィレッジの初期メンバー)やドウェレ、ファット・キャット、BR・ガンナなど、デトロイト地下シーンの住人たちをフックアップしつつ、スラム・ヴィレッジはアンダーグラウンドに根差した活動を広げている。
05年現在、デトロイトは新鋭のヒップホップ・サウンドを生み出す土地として認知されている。それも彼らの存在があってこそ、なのだ(もちろんデトロイト・テクノの存在も忘れずに)。
最後にオマケ。デトロイトといえばエミネム、ひいてはD12が有名である。このD12の事実上のリーダー=プルーフに直接訊いたのだが、プルーフとジェイ・ディーはかつてスペース・カウボーイなるデュオを結成していたらしい。まだふたりが10代の頃の話ではあるが、再結成談も頻繁に持ち上がっているとか。

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