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“ミスター・ソウル”、“ファーザー・オブ・ソウル・ミュージック”……。偉大なソウル・シンガーを前にそんな陳腐な形容詞しか思い浮かばない自分が恥ずかしい。
レイス・ミュージックと白眼視されていたブラック・ミュージックを大衆的に洗練させ、ベルリンの壁よりも高い“差別”という障壁を軽く乗り超えて見せたサム・クック。「ユー・センド・ミー」、「ワンダフル・ワールド」、「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー」、「ツイストで踊りあかそう(Twistin' The Night Away)」といった彼が放ったスタンダード・ナンバーたちは、世界中のTVやラジオ、ショッピング・モール、そして人々の鼻歌で聴くことができるほど、世界中の巷の細部にまで浸透している。
ソロ・デビュー以前はゴスペル・グループ、ソウル・スターラーズの看板シンガーだっただけに、ポップを視界に入れつつもディープな気骨を常に秘めているのがサム・クックの魅力のひとつだが、特筆すべきは頭脳のクレヴァーさにもある。ライヴにおいて、白人聴衆を前にした時は都会的なシンガーを演じるが、黒人聴衆の前では熱狂的なプリーチャーと化す(ライヴ・アルバム『ライヴ・アット・ザ・ハーレム・スクウェア』を聴くべし!)。この辺の使い分けが、人種を超えた成功の秘訣と言えるだろう。
今でこそ、ブラック・ミュージックのなかだけでもソウル/R&B/ファンク/ヒップホップと、ジャンルの細分化は止めどなく進んでいるが、結局最後は皆ここへ帰ってくるはず。サム・クック——すべては彼から始まった、と言っても過言ではない。

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