Roots Manuvaの記事一覧

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ヒップホップとエレクトロニカとのダーク・サイドを跨いで、ルーツ・マヌーヴァは成長著しいUKラップ・ムーヴメントの先頭へと躍進した。この<BIG DADA>のラップ・アーティスト、本名ロドニー・スミスは、ビート・メイカーとしても他のレーベル・アーティストたちと肩を並べるほどの才能を持っている。自信に満ちたそのストリート流リリシズムが、奥深いメロディ、レゲエ・サンプル、難解なシンセ音などとともに浮き沈みする。それはあたかもセイルボートが海の上で嵐をじっと耐え忍んでいるかのようだ。うねるグルーヴの波は、巧妙なサンプルによって構成されたダークな色彩である。ルーツ・マヌーヴァのサウンドは、知的でオープン・マインドな姿勢を持つヒップホップ・リスナーがリヴィングルームでくつろぐには、持ってこいだ。
そんなルーツ・マヌーヴァが05年に完成させたオリジナル3作目のアルバム『オウフリー・ディープ』を聴いて欲しい。例えばプレフューズ73がUSでそうしているように、ルーツ・マヌーヴァはUKからヒップホップ・サウンドに革新を起こそうとしている。彼は自分のクリエイティヴィティをかたちにしているだけなのだろうが、そのサウンドには熱波とでも言うべき、とてつもない革新性や新奇性が溢れている。その他にもフランスのTTC、ディジー・ラスカル、アモン・トビン、マイク・ラッド、ネプチューンズ……など多くの同志たちの名前が浮かぶが、彼らのように、新しい、実験的な目論見をかたちにしているアーティストの数は至極少ない。
今ルーツ・マヌーヴァ(を始め<NINJA TUNE/BIG DADA>)のサウンドに触れるということは、将来のベーシック・サウンドに触れることかもしれない。彼らのサウンドは近い将来のスタンダードになり得るのだから。もちろん、彼らが音楽革命を成し遂げられたのなら、であるが。

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