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崇高な風貌、紳士的な振る舞い——まるで上流階級の一人物だ。黒いスーツがよく似合う長身黒人ベーシストである彼の愛称は"ミスター・ベース"。誰もが敬愛の念を示してそう呼ぶ。
もちろん音も気品が溢れている。倍音のたくさん入った発音とよく歌うロング・トーンに特徴があり、恥かしながらカタカナで記すと"グョ〜ン"という感じ。重厚感/艶/湿り気/粘り/色気/大人(?)が同居している彼のベースは、一拍一拍の広がりが素晴らしく、音楽の土台として見事なまでの安定感をみせている。———"ベースの絨毯"、そんな言葉がピッタリだ。また、ジャズ・ベースの分野だけにとどまらず、小型のピッコロ・ベースを導入して、独自の世界観を築きあげてみたり、クラシックの要素を取り入れて、バッハのチェロ組曲をベース・ソロでプレイしてみたりと、意欲的な活動を繰り広げている。10歳からチェロ、高校時代からベースをはじめ、イーストマン音楽院とマンハッタン音楽院に学んだ彼なら、当然の結果なのかもしれない。
60年代のマイルス・デイヴィス・クインテットのメンバーとして一時代を築いてきた彼は、現在、ボサ・ノヴァを中心とした音楽活動を繰り広げている。日本にも頻繁に訪れており、大御所にありがちな、"スタンダードをセッションしているだけ"という手を抜いた演奏をせず、必ず何か新しい一面を見せてくれる。その長身で最もスタイリッシュにウッド・ベースを弾きこなす彼の姿を、末永く見られることを祈ってやまない。
——37年ミシガン州生まれ。

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