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The Stylistics

(スタイリスティックス)

スタイリスティックスぐらいになると、その音楽を“ソウル”というよりは“ポップス”と呼ぶ方がシックリくる。特にここ日本では、一般人への知名度の高さやヒット曲の多さといったポピュラリティは、他の黒人グループの比ではない。しかし、ヒットを重ねれば重ねるほど、一方でブラック・ミュージック特有の濃度が失われていったのも事実。その辺がソウル・ファンから敬遠される理由だろうが、デビュー・アルバム『スタイリスティックス登場』(72年)の“黒さ”を見すごすわけにはいかない。また、錬金術師トム・ベルのプロデュース・ワークのもとで完成したこの作品は、華麗なオーケストレーションが施されたサウンドが、リード・ヴォーカル=ラッセル・トンプキンスのファルセット・ヴォイスをさらなる高みへと舞い上がらせたことでも知られる。さらに、このアルバムからは「ユー・アー・エヴリシング」「ゴーリー・ワウ」というようなスィート・ソウル・ナンバーがヒットした。
以降「ブレイク・アップ・トゥ・メイク・アップ」(73年)、「誓い」(74年)……とビッグ・ヒットを飛ばしていき、彼らは一躍スターダムへと躍り出る。それと同時にソウル色も徐々に薄まっていくのだが、ヴァン・マッコイがプロデュースした「愛がすべて」(75年)などは、今聴いても実にカッコいいディスコ・ソングだ。分厚いストリングスとディスコ・ビートの狭間を縫ってトンプキンスの感極まったようなヴォーカルが炸裂する、“踊ってナンボ”のこの曲。ソウル・ファンの評価は低いが、スタンダードとしての完成度はすこぶる高い。その黒さも特筆ものだろう。
その後も彼らはコンスタントに作品を発表。80年代にはディスコ/ポップス色を払拭した原点回帰の『サムシング・ネヴァー・チェンジ』(84年)という傑作を生み出した。

制作協力:
OKMusic

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