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戸川純

(トガワジュン)

80年代前半に『宝島』や『フールズメイト』を愛読していたような、いわば「サブカル好き」な少年たちの最大のアイドルが、戸川純だった。コケティッシュな外見、幼女のような舌足らずな歌唱から、けたたましいパンク的絶叫、声を張り上げた芝居じみた奇声までを脈絡なくダイナミックに往還するヴォーカル、どこか浮き世離れした風情が微苦笑を生むステージ・パフォーマンスなど、それまでの芸能界的なアイドルとも、パターン化したビッチなロック・クイーンとも、中性化したパンク少女とも異なる存在感で、一世を風靡したのである。
極端な箱入り娘で、自宅にこもったまま読書したり音楽を聴いたり、とりとめもない空想に耽るしかなかった彼女の感覚は、どんどん現実離れしていったという。「天然ボケ」という言葉がぴったりの素っ頓狂なキャラクターは、常に世間や他人と半音階ズレてしまい、心ならずも孤立せざるをえない者だけが抱えるある種の欠損のあらわれでもあるだろう。彼女の非凡は、その欠損あるいはズレを遮二無二埋めようとするのではなく、むしろ拡大してみせることで、カルト・アイドルの名を欲しいままにしたのだった。なぜならその半音階のズレによる孤立は、彼女を支持したサブカル少年たちの誰もが思い当たることだったからだ。
ニューウェイヴ/テクノ・ポップ全盛期に大正ロマンのような擬古的な音楽で異彩を放ったゲルニカに始まり、女性の生理中の心理状態を歌った「玉姫様」で話題となったソロ時代、さらにヤプーズとの活動と、彼女は持ち味のエキセントリックな奔放さを失うことなく現在に至っている。その影響力は、いわゆる「不思議系」キャラの無数の女性歌手たちや、椎名林檎やChara、Coccoといった生理感覚系アーティストを見るまでもなく、いまなお絶大である。 (小野島 大)

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