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まだパワーポップという言葉が存在しなかった70年代に、アメリカン・ポップスの醍醐味を、甘く切ないメロディに乗せて歌い上げたのがラズベリーズである。後にAORシンガーとしても大成するエリック・カルメンを中心に結成され、72年「さよならは言わないで」にてデビューを果たす。メロディアス志向のパワー・コード＆リフから繰り出されるギター・サウンド、力強くも切なげであるヴォーカル、それらが近年のパワーポップ・シーンに引き継がれていることは言うまでもない。また、シンフォニックな要素を取り込み、バラード・ナンバーをよりドラマティックに仕上げる手腕は、ELOに匹敵する素晴らしさであった。
３年という短い期間に『明日を生きよう』『サイド３』他２枚のアルバムを残し、その活動に幕を降ろしてしまうが、ラズベリーズのサウンド・スタイルがもたらした功績はあまりにも大きい。