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R.ケリーことロバート・ケリーは、数多くのミュージシャンのプロデュースやリミックスを手がけ、自らもシンガーとして活躍している才人だ。67年(69年?)アメリカはシカゴにて生を受けた彼は、チャカ・カーンやダ・ブラットも卒業生であるケンウッド・アカデミーに入学し、音作りの基礎を徹底的に修練していく。卒業後、ストリート・パフォーマンスなどを通して経験を積み、R.ケリー&MGMとしてデビュー。だが、グループはうまく機能せず、内輪もめの末に脱退。そんなケリーに手を差し伸べたのが、グラディス・ナイトの元夫バリー・ハンカーソンだった。バリーの口利きでレーベル<JIVE>との契約にこぎつけ、R.ケリー&パブリック・アナウンスメントで90年にメジャー・デビューを果たす。ニュー・ジャック・スウィング全盛であった当時、彼の湿り気を帯びたセクシー・ヴォイスは、たちまち人気を得て、一気にシーンの寵児へと転身した。
93年からはソロ名義となり「愛と性について」というテーマを12章で綴った2ndアルバム『12プレイ』で、最高セールスを記録。95年の3rdアルバム『R.ケリー』では、さらなるニュー・クラシック・ソウル色を打ち出しながら、彼自身の精神世界を投影したセクシュアリティの高いリリック世界を披露している。——当初ケリーは、ガイのようなニュー・ジャック・スウィングを主体とした音楽的方向性を示していたが、作品を重ねるに連れてR&B色を強め、70sソウルを現代感覚で甦らせることにアーティストとしての大義を移した。そんなケリーはメロウなヴァイヴとセンシュアルな世界観が最大の特徴であり、そんな恍惚としたムードの虜になっている女性リスナーも多いと聞く。また、アリーヤ、ジャネット・ジャクソン、マイケル・ジャクソン、メアリー・J.ブライジ、故ノートリアス・B.I.G.らといった大物アーティストたちのプロデュースも手がけていることから、彼が90年代以降のサウンド・クリエイターのなかでも最たる存在であることが分かる。
とはいえ、音楽的性格においてだけではなく、人間的性格、つまりはゴシップにおいても話題を振り撒いているケリー氏。裁判沙汰に発展するケースも珍しくない(少女への暴行容疑やジェイ・Zとイザコザなど)。だが、04年発表作『ハッピー・ピープル/ユー・セイヴ・ミー』ではシカゴ・ステッパーズというオールディな音楽を復権させるなど、その底知れないクリエイティヴィティの一端をアピールしてもいる。彼が天才なのは、誰もが認めざるを得ない事実なのだ。

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