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奇形児

(キケイジ)

特に、80年代前半のライヴ・ハウス・シーンに衝撃を与えたバンドだ。まず、バンド名のインパクトが強烈すぎた。むろん、同じ意味でもこれが英語だと受け取る印象は全く違ってくる。日本語でなければダメだ。とにかく、このバンド名が奇形児のアティテュードを示していた。つまり、”見たくない聞きたくない言いたくないようなこと”を歌い切ったのだ。自分自身も社会もひっくるめて暗部をえぐるということであり、苦悩と欺瞞とを白日の下にさらし、本気で愛を渇望する。そのすべてを、遠まわしな言葉を使わず強烈な日本語で描き出したのだ。奇形児には「ヒポコンデリア」という名曲があるのだが、こういうタイトルを使うこと自体に驚いてしまう。そして、ナーヴァスゆえにアグレッシヴなサウンドになるのだ。特に気持ちが剥き出しのヴォーカルには、はっきりと日本語が聞き取れるだけに震えてしまうはずである。
詞だけでなく音楽的にも、まさに日本ならではのパンク以外の何物でもないのだが、曲調は様々だった。ハードコア・パンクのスピードの曲、ミッド・テンポの曲、スローなワルツ・ナンバー、70年代のロックのような曲といった具合である。ドロドロしている部分も多かった半面、内にこもらず、エネルギーは内を貫き、外に向かっていた。
音源としては、オリジナル・アルバムはリリースしなかったが、4枚のソノシート/7″EPをリリースした(それらをまとめたCDも出ている)。ちなみに、当時ザ・スターリンのメンバーだったタムが作ったインディ・レーベルの<ADK>の第一弾が、83年3月に出た奇形児のデビュー・ソノシートで、ホントに即完売だった。なお奇形児の活動期間だが、86〜92年は作品の発表もライヴもやってなかったとはいえ、公式には82〜94年とのことである。 (行川和彦)

制作協力:
OKMusic

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