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イギリス北部の工業都市ニューキャッスル近くのダーラム出身のパディ・マクアルーンを中心としたプリファブ・スプラウトは、ポスト・パンク/ニューウェイヴから登場したバンドである。時代の激動に翻弄された当時のイギリスのシーンには、確かにある種の疲弊感が漂っていたし、結局は商業主義にからめ取られていったパンク/ニューウェイヴへの絶望感や虚無感があった。プリファブ・スプラウトの音楽は、そうしたトレンドや流行に惑わされず、時代の風に押し流されることのない、いつまでも古びることのないエヴァーグリーン・ポップを目指しているように思えるし、それはマクアルーンのソングライターとしての絶対的な信頼感とともに、もはや揺るぎのない評価となっている。
83年にインディーズでシングルを発表、それをきっかけに地元のインディ<キッチンウエア>と契約、エルヴィス・コステロの前座に抜擢され、84年に1stアルバム『スウーン』を発表、全英トップ20に入るヒットとなる。アズテック・カメラやオレンジ・ジュース、一連の<チェリー・レッド>作品など清涼感溢れるネオ・アコースティック・サウンドのアーティストが大挙してあらわれてきた時期であり、プリファブはそのひとつとしておおいに注目された。
そしてトーマス・ドルビーのプロデュースで制作された2ndアルバム『スティーヴ・マックイーン』(85年)で、彼らの評価は決定的なものとなる。ドルビーのプロフェッショナルなサウンド・プロダクツと、マクアルーンのある種のアマチュアリズムの結晶であるソングライティングの妙が見事に結実したこのアルバムは、現在に至るまで彼らの本質であるノスタルジックな青春アルバムの名作として語り継がれている。
その後のプリファブはマクルーアンのワンマン・ユニット的な色彩を強めながら、『ラングレー・パークからの挨拶状』(88年)、『ヨルダン:ザ・カムバック』と、彼ら流のAORを突き詰めた傑作を発表し続けている。最新作は7作目『ザ・ガンマン・アンド・アザー・ストーリーズ』(01年)。 (小野島 大)

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