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旧東ドイツのベルリン出身のニナ・ハーゲンは、パンク期のドイツが生んだ異能のひとり。55年、劇作家の父と、反体制詩人で女優の母の間に生まれた。70年にTVのオペラ番組で主役をつとめ、その後ポーランドに渡りハード・ロック・バンドを結成。当時のレパートリーはジャニス・ジョプリンやティナ・ターナーだったという。
73年に音楽専門学校を卒業、自らのバンド、オートモービルを結成するが、東ドイツの国家体制に不満をもち76年に西ドイツに亡命、すかさずロンドンに渡りセックス・ピストルズやスリッツといったバンドと交流をもち、パンクに深く傾倒するようになる。特にロック史上初の完全に開かれたギャルバン、スリッツからの影響は大きかったはずだ。
帰国した彼女はニナ・ハーゲン・バンドを結成、78年にデビュー・アルバム『NINA HAGEN BAND』を発表。そして80年になって世界デビュー作となるソロ・アルバム『UNBEHAGEN』を発表、これがセンセーションを巻き起こし、一躍彼女の名は世界中に知られるようになる。
ニュー・ウェイヴやパンク、レゲエなどの要素を装飾的に取り入れたりしているが、基本的には伝統的なハード・ロックである彼女の音楽に、さほどの革新性はない。それは同時期に台頭したDAF、アインシュトゥルツェンデ・ノイバウテンなどの、いわゆる"ノイエ・ドイッチェ・ヴェレ(ジャーマン・ニュー・ウェイヴ)"の一派と比べれば、はっきりする。だがオペラの方法を取り入れた歌唱法の特異さ、派手なコスチュームやメイクなどを施した存在感や演劇的なパフォーマンスなどで、戸川純をはじめ、世界中のパンク少女たちに及ぼした影響は大きい。
ニナはその後もコンスタントに活動し、00年には11枚目にあたる最新ソロ『Return of the Mother』を発表、相変わらずの存在感を見せつけている。 (小野島 大)

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