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良い映画を撮るには主役はもちろん名脇役が必須条件。たとえば川谷拓三のような……(古い?)。そんな役柄を務める人物は、ジャズの場合、ハンク・ジョーンズ、トミー・フラナガン、ケニー・バロンなどピアニストに多い。そして、近年のメインストリーム・ジャズにおいて、その潮流をくむのがマルグリュー・ミラーだ。端整なタッチ/正確な音使い/趣味の良いフレージングなど、このテのプレイヤーにはマスト・アイテムといえるセンス/技術を豊富な演奏経験によって培い、“完全なるピアノの鉄人”まであと1歩のトコロまで来た。
彼の履歴を簡単にさらってみると、70年代にデューク・エリントン楽団に入団し、その後、ウッディ・ショウ、アート・ブレイキー、トニー・ウィリアムス、デヴィッド・サンボーンといった多数多ジャンルのグループに参加。レコーディングもリーダー/サイド・マンとして350本以上を数える。世界各地のジャズ・フェスティバルでも常連であり、日本にも多いときは年に数回くるという。——こうして今ではジャズ界になくてはならない存在にまで成長した。
残念なのは、リーダー作でコレといった決定作がないことである。今までの経験を生かして、噛めば噛むほど味わいを深める“都昆布”のようなプレイヤーに変貌するのを切に望む。

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