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いきなり蛇足だが、パフ・ダディ（現P・ディディ）の商業的成功の裏にメイスあり（？）——彼の気だるそうなスムーズ・ラップ・スタイルを真似たのが、なにを隠そうそのパフ・ダディなのだ。もちろん、パフィの成功はその実業家魂のお陰であるわけが。05年現在でも、ファボラスのそれなどからメイスのラップ・スタイルを見ることができるわけであり、彼のスタイルが当時なかなか画期的なものだったことが分かる。
ノトーリアスB.I.G.や112などの作品にフィーチャーされ、その名を世間に知らしめたメイスは、97年遂にアルバム『ハーレム・ワールド』でデビュー。待ってました！　とでも言うべき、アッパーなソウル感をみなぎらせた大胆な大ネタ使いで、親しみやすさを全面に押し出したポップなサウンドを展開。そのあからさまな＜BAD BOY＞レーベルらしい戦略に、コアなヒップホップ・ファンからは野次が飛ばされたが（本当か？）、結局はそれを尻目にアルバム／シングルはチャートを席捲したのだった。
自分が楽しみ、その結果マスなリスナーも楽しめればそれでええじゃないか、という彼のスタンス（＝エンターテインメント性）は、無理にアーティスティックを気取るより、よっぽど好感が持てるのではないだろうか。
そんなメイスは、99年の２ndアルバム『ダブル・アップ』のリリースを期に、牧師になると言い残してヒップホップ・ゲームを勇退する。が、04年には『ウェルカム・バック』というまんまのタイトルのアルバムを引っ提げてシーンに舞い戻ってきたのである。メイス、ウェルカム・バック！