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ドメスティックR&R界の巨頭・キャロルの解散コンサート(75年/日比谷野音)にてバックアップを務めたライダース・チーム、クールス。彼らは同年、R&Rバンドとしてシングル「紫のハイウェー」、アルバム『黒のロックンロール』で同発デビューを果たす。黒の革ジャン/ブルージーン/リーゼント/ハーレー……というオールド・アメリカン・R&Rのアイテムを身にまとったこわもて軍団を率いたのは、現在役者として活躍する、たちひろし(舘ひろし)であった。
1stアルバムの楽曲提供陣及びアレンジャーには、五大洋光(=矢沢永吉)、ジョニー大倉、近田春夫、ヨモ・ヨシロー(四方義朗/現ファッション・プロデューサー)といった当時の先鋭的メンツが名を連ね、周囲がクールスという逸材を通して新風を巻き起こそうとした気合いも窺い知れる。しかし彼らの音楽的価値がマスコミや評論家筋からほぼ黙殺されていた——というのは再三再四言われていることで、確かにクールスも素行のワルさや見てくればかりが取り沙汰されていたことは否めない。古今東西R&R(及びそれにまつわる不良テイストな空気)は世間のおカタイ連中から疎まれがちなものだが、ドゥ・ワップ風のコーラス/ロカビリー調のしゃくりあげるようなヴォーカル・スタイル/ブギウギ風のピアノを配したタイトな3コード……という、ゴキゲンなオールディーズ・スタイルR&Rを軽視してしまうのは、あまりにもったいない。ベーシックに忠実でいたって真摯な姿勢は今でも断然有効だ。また、R&Rの王道ソングがほとんどそうであるように、彼らのナンバーも実はほろ苦いラヴ・ソングが大部分を占めている。
ボスであった、たちひろしは77年に脱退。以降、クールスは"クールス・ロカビリー・クラブ"と改名して活動開始。この時代もかの山下達郎御大がプロデューサーにあたった「センチメンタル・ニューヨーク」『ニューヨーク・シティNY』といった大傑作を輩出しているが(音楽マニアのあいだでは垂涎の作品)、山下がジェームス藤木(g)のソングライティングの才能を高く評価しているのは有名な話だ。
81年に"新生"クールスとして再び改名。その後、幾度のメンバー・チェンジ/休止活動期間はあるものの、結果的にクールスは20年の歴史を築きあげた。現在もメンバーはそれぞれ別ユニットなどで活動中だ。また、01年にはクールス名義でライヴも再び行われる模様。

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