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51年インディアナ州生まれの、生粋のアメリカン・ロックンローラー。デビューは76年だが、擦り切れジーンズや中古のバイクに象徴される、軽快なフットワークが小気味良い「古き良きアメリカ」を地でいく潔さは、80年代のMTV世代にも大きくアピールしていた。が、90年代に入る頃には、どんどん上昇する評価とは裏腹に(こういった「いいミュージシャンではあるがスターシステムにはアンチな人」にはよくあるパターンだが)、メディア登場も激減し作品の内容も徐々に地味渋なものになりはじめる。もちろん、それは「大人の叡知」にシフトした内省のアルバムということでもあるのだが。
言わばサウンド・プロダクツ的には、デビュー時がオーバー・プロデュースのためか一番派手。無駄を取り除いたソリッドな躍動感にシフトした時代が上昇期にあたり、現在はチープなまでにシンプルな音作りながら、歌そのもの声そのものの生命力で聴かせる展開——ということができる。その変遷には、彼のショービズ世界での苦闘ぶりがそのまま反映されているような気がするが、苦闘といえば彼のクレジット・ネームも数々の変遷を経ている。もちろん本人は最初から現在と同じ、本名のジョン・メレンキャンプ名義を希望したが、事務所サイドが「覚えにくい」という理由でジョン・クーガーという芸名をデビューの際に勝手に用意。82年のアルバム『American Fool』のヒットを受け、次のアルバムからは暫定的にジョン・クーガー・メレンキャンプ名義に。そして91年の『Whenever We Wanted』からめでたく本名のジョン・メレンキャンプ名義が実現。と、とにかく闘ってる人なんです。
もうひとつ付け加えておくと、92年に行なわれたボブ・ディラン30周年記念ライヴにて錚々たるメンバーが集結した中、まずトップバッターで登場し、いきなり伝家の宝刀「ライク・ア・ローリング・ストーン」をカマしてきた雄姿は、今や彼だって「アメリカを代表するロッカーの一人」であることを文句無しに物語っていたと思う。  (小池清彦)

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