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Joe Pass

(ジョー・パス)

ヴァーチュオーゾ:巨匠、音楽の名演家。——この称号をもつギタリストがジョー・パスだ。地味ではあるが、味わい深さは特級品。コードの響きとそこから発展させたフレージングで、オーソドックスなスタイルの代表格と言われる。アルペジオやクロマティックをもちいたビ・バップ的なアプローチはまさに教科書だ。その範疇での超絶テクニックで、多くの後進ギタリストから尊敬の念を集めている。
酒と博打が大好きな父親に、ギャンブル中のBGMとしてギターを弾かされていた彼。強制的ではあったもののメキメキと腕をあげ、ジャンゴ・ラインハルトに傾倒するジャカジャカ・ギター・スタイルで、10代にはプロとして活動していた。学校を卒業すると、すぐにニューヨークへ進出して精力的な活動をはじめるのだが、ドラッグに手を染め、20代のほとんどを療養所で過ごすことになってしまう。何度も入退院を繰り返し、その最後がサンタモニカのシナノン療養所だった。所内の仲間と彼が演奏していたのを<パシフィック・ジャズ>レーベルの社長が気に入り、60年代初頭、レコーディングをさせる。これが記念すべきデビュー・アルバム『サウンド・オブ・シナノン』だ。以後、専属契約を結び、歴史的名盤『フォー・ジャンゴ』(64年)、『ヴァーチュオーゾ』(73年)など多くのアルバムを世に送り出す。共演もデューク・エリントン(p)、オスカー・ピーターソン(p)といった数多くの巨匠と行っているが、特筆すべきは歌伴だ。エラ・フィッツジェラルド(vo)とのデュオでみせる、カッティングとオブリガードのコンビネーションは、まさに絶妙である。
どんなに崇められても決しておごることなく、自らを“ギターを弾く芸人”と称していたパス。晩年は後進の指導にも熱心であり、世界各国で音楽セミナーを開催した。そんな彼のジャズ・ギター方法論は、今では伝統となり、継承されている。——94年死去、享年65歳。

制作協力:
OKMusic

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