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凄みのある顔つきにドスの効いた声——まさに、“吼える狼”という名に相応しい男、ハウリン・ウルフ。
米国ド南部のミシシッピ州で産湯に浸かり、10代より綿花畑で働きつつブルースを習得するというブルースマンのエリート・コース(?)を進む。その後、各地を転々とし、シカゴに辿り着いたのが42才の時。以降マディ・ウォーターズと共に<チェス>レコード、というよりシカゴ・ブルースの双璧を担い、数多くのスタンダードを生み出した。
中でも、「ハウ・メニー・モア・イヤーズ」(51年)、「スモークスタック・ライトニン」(56年)、「バックドア・マン」(60年)、「スプーンフル」(60年)といった代表曲で聴ける、ディストーションをかけたかのごときダミ声と背中に刃を突きつけられるような緊張感は、まさに、ロック、いやパンクである。そのディープなダウンホーム感覚は、いくらサウンドが洗練されようとも、ブルースがもつプリミティヴな魅力を否が応にも露にしてしまう。ロック・サークルのアーティストが好んでカヴァーしたのも頷ける話だろう。
また、コンビを組んでいたヒューバート・サムリンの鋭くキレのあるギターも、ウルフ印のブルースに欠かせない持ち味であった。
76年に脳腫瘍で亡くなるが、彼がいなかったらポピュラー・ミュージックの歴史も、かなり違うものになっていたのではないだろうか……。

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