Hank Williamsの記事・ニュース・画像一覧

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天才的なアーティストは、早死にすることが多い。それも自殺、もしくはそれに近い死に方……。ジミ・ヘンドリックス然り、カート・コバーン然り、である。余りにも鋭敏な感性が、自分を取り巻く世の中のしがらみ/偽善などを、普通の人よりも過剰に察知してしまうせいなのだろうか? そして、見える風景も一般人とは違うのだろうか? 凡人には解らない永遠の謎なのだが、ハンク・ウィリアムスもそんな天才型のミュージシャンであろう。
貧困の中に育ち、カントリー歌手としてメジャー・デビューしたのが49年、25才の時。以降29才で亡くなるまで、たった4年という短い期間で、カントリー・ミュージックの基礎を作り上げたことは驚嘆に値する。「ユア・チーティン・ハート」「ジャンバラヤ」「コールド・コールド・ハート」「ヘイ・グッド・ルッキン」といったヒット曲は、後にスタンダードとなり、ここ日本でも知らない人はいないだろう。しかし、何かとカントリーという枠で語られがちな彼の音楽だが、全編を貫くブラック・ミュージック感覚も忘れてはならない。もともと黒人ブルース・マンのストリート・パフォーマンスを見て、ミュージシャンを志したというだけに、その節回しからは濃厚なブルース臭が漂ってくる。また、数々のカヴァーを生んだ「アイ・ソー・ザ・ライト」でのゴスペル・シンガーとしての彼も魅力的である。そんなさまざまな要素を内包したウィリアムスの音楽は、まさに白人と黒人の共有財産——コモン・ストックの体現であった。そして彼が蒔いた種は、ロカビリーという花を咲かせ、やがてはそれがロックに成長していくのである。

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