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パナソニックのCMで「やるもんだ」と言ってピアノを弾いていた黒人のおっちゃん(古いから知らないかなぁ)——あんたこそ“やるもんだ”。
とにかく聴きやすい——いい意味で。多くのジャズはどこかしら「俺を聴けぇーい」という主張がみなぎっているので、うっとおしくなることが多々ある。が、彼の演奏は、我が家のリビング・ルームでゆっくりとくつろぎたい時に流れていても、けっして邪魔にはならないだろう。なぜなら彼のアドリブは原曲の雰囲気をこわしすぎずに、何ともいえない優雅さを漂わせており、聴くものをリラックスさせる力があるからだ。しかも、自分が上流な生活をしている気分にまでさせてくれる(ワイン片手に持っちゃったりしてね)——。また、大衆に媚びた音楽を創っているのではなく、モダン・ジャズの本流にのっとりながら真摯な態度で音楽に向きあっている結果がそうさせるのだ。なかなか粋じゃあないですか。
性格も柔和で紳士的らしい(つくづく音楽は人柄がでるものだと思い知らされる)。そこから派生する音楽的寛容さや幅の広さで、スウィング・スタイルのベニー・グッドマン(cl)から、クール・ジャズのマイルス・デイヴィス(tp)、はたまたペギー葉山のレコーディングにまで参加するが、違和感なくすんなりと入り込んでいる。そんな彼の代表作をあげるなら、「枯葉」で有名な名盤『サムシン・エルス』(58年)や、ピアノ・ソロでの不朽の名作『ジョーンズ氏に会ったかい』(56年)が挙げられるだろう。
サド・ジョーンズ(tp、arr)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)という名プレイヤーを兄弟にもつ彼は、幼少の頃から音楽に慣れ親しんできた。そして、長いあいだ第一線で活躍し、まだまだ現役プレイヤーとして元気いっぱいにプレイしている。——ほんとに“やるもんだ”。

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