Goldie Lookin Chainの記事・ニュース・画像一覧

UKガラージやダンスホールなどのビートをひとつの鍋に集め、コトコトと煮込んで完成させたようなUKオリジナル・サウンドの究極型、グライム。USは南部が誇るリル・ジョンが提示した音楽史上最強のアゲアゲ・サウンド、クランクに負けるとも劣らない、ノイジーな音塊がネリネリと耳の穴をこじ開けて入ってくるようなハードでへヴィな新感覚サウンドである。
“グライムの貴公子”と呼ばれるディジー・ラスカルの出現により、ようやくグライムがUKメインストリーム・チャートの仲間入りを果たしたわけだが、そのチャート上に登場したのが、グライムのカウンターのようなおバカで牧歌的（だがどこかイビツな音像を生む）曲調を得意とするゴールディー・ルッキン・チェイン（GLC）である。メジャー・デビュー・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』がUKヒット・チャートのトップ５に食い込んだGLCは、８人のコア・メンバーを主体とする総勢21人の大所帯ラップ・クルー。なんと結成してからメジャー・デビューまでに21年を要したという、息の長い苦労人集団でもある。彼らのサウンドを聴くと、その長きに渡って培ってきた個性が強烈なインパクトを持って聴き手に襲いかかってくるような感覚に襲われる。気のせいかもしれないが。
また、絶対的に忘れてはいけないのは、彼らは“楽しさ”を主軸にするサウンド群を示すアーティスト集団なのだ。このGLCから、音楽は音を楽しんでこそ機能する音楽、という当たり前だが見失いがちのことを教えられた気がする。