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人種の坩堝、ニューヨーク。同時に、この都市は音楽の坩堝でもあり、音楽が互いに影響し合いまったく新しい音楽が形成される都市でもある。その象徴のひとつがファン・ラヴィン・クリミナルズだ。かつてテクノ・バンドを組んでいたふたり、つまりはスティーヴ（dr&per&vo）とファースト（b&p&vo）がクラブのフロアで出会ったことをきっかけに結成されたグループである。
メンバーそれぞれの異なった音楽性をひとつにして反映させた結果、実に自由で幅広い音楽が生まれることになった。彼らはブルージーなスライド・ギターの鳴り響きに迫力のあるラップを被せ、さらにスクラッチ音を絡ませて太いうねりを生み出し、「生演奏とサンプリングの融合による泥臭さ」を打ち出したのである。そんな彼らの音楽性を端的に言い表すならば、ロック／ジャズ／ブルース／ヒップホップを血肉化した独自のミクスチャー・ロック——。
95年にリリースされた２ndアルバム『カム・ファインド・ユアセルフ』に収録されたタイトル曲は、そんな彼らのアティテュードが絶妙に集約されたナンバーだといえる。