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Rising Sun & Yoga、UTUといった別名義での活動も展開してきたケン・イシイが、さらに深くエレクトロニック・ミュージックの可能性を探求するために設けたのがフレアである。『Reference To Difference』('95)で夢想するチルアウトを描き、「Nettin Pure 1」ではクレイジーなシンセが所狭しと跳ね回るミニマル・ダンス・トラックを披露。そして『Grip』('96)においては、同時期にリリースされた本人名義作品『Jerry Tones』よりも、さらにディープかつシリアスな音響実験が試みられている。また、ヤマタカ・アイ、小山田圭吾、竹村延和、ツッチー(シャカゾンビ)といった斬新なアイディアをもったリミキサー陣を迎えたリミックス・アルバム『Re-Grip』は、ロック/ドラムン・ベース/ヒップホップなどの要素を取り込んで自作を再構築させ、テクノを進化させるという意志が見られた。その後の「Easy Filters」('98)では、タイトル通りのフィルターを効かせたバンギンなダンス・トラックを発表。
——ケン・イシイ名義よりもリラックスした趣きのある、このプロジェクトは、彼の作曲活動における実験精神のカッティング・エッジと言えよう。