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バフこそ英雄だ。
日本にヒューマン・ビートボックス(HBB)が普及したのは、間違いなくヒューマン・ビートボクサー=AFRAの功績である。もちろん、AFRAよりも前にニューヨークで生まれたこの技巧を日本に運んできたアーティストも少なからずいたワケであり……と、話が本旨からズレてしまわないうちに軌道修正。ここで言いたいのは「バフこそ英雄だ」ということなのだ。
キワモノ、もしくはイロモノ扱いされているなかでデビューを果たしたデブ3人衆、それがファット・ボーイズである。なぜ彼らが世間一般からそういう扱いを受けていたかというと、そのファットでコミカルな容姿もさることながら、主要メンバーのバフが見せるHBBが、まだヒップホップの大切な要素としての市民権を獲得していなかったからであろう(もちろん、彼らも自ら進んでコメディアンに徹していたワケだが)。今でこそDJイング、MCイング、Bボーイング、ライティングに次ぐヒップホップのエレメントは“ターンテーブリズム”、もしくはこのHBBと巷に認識されているが、当時のニューヨークではバフの他にHBBをやっていた人はほとんどいなかったハズ。結果、多くのフォロワーを生み出すことになった彼の素晴らしい芸能を、80年代前半のTV番組はこぞって(ホントか?)放映した。さらに、どんなフォロワーたちよりも太いキック音をその太鼓腹から発することができた彼は、地元を中心に多大なプロップを獲得していったのである。
現在、世界一HBBに長けている人物、それは元ザ・ルーツのラゼールに違いない(異論を唱える輩はいるだろうか?)。彼やダグ・E・フレッシュも間違いなくHBBのパイオニアなワケだが、バフがTV番組やラジオ、そしてビーチ・ボーイズとのコラボや代表曲「ラップ・オペラ」などを通してHBBを世界に広く紹介しなければ、正直この口芸術が今様までの人気を得ているとは考えにくい。もしアナタがヒップホップを嗜好する人ならば、95年に亡くなったバフを心から悼んで欲しい。バフはヒップホップ・シーンのヒーローのひとりなのである。

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