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Emmylou Harris

(エミルー・ハリス)

ロック・ファンがエミルー・ハリスを単なるカントリー・シンガーとして捉えるのは大きな損失と言えるだろう。それは、95年の傑作『レッキング・ボール』を聴けば明らかだ。音響派ルーツ・ロックの第一人者ダニエル・ラノアを迎え、カントリー/フォークというルーツ・ミュージックに音響的広がりを施し、幽玄な音世界を確立している。——そこでは70年代に聴かせたソプラノ・ヴォイスは影を潜め、年老いていくことに開き直ったかのようなカスレ声を披露。彼女は、歪みきったサウンドの上で、彷徨える南部の精霊たちの言葉を現代に伝える霊媒師となったのだ。
ハリスはもともとフォーク・シンガーとして出発するものの、70年代にグラム・パーソンズのデュエット・パートナーとして迎えられる。そして彼の死後、その遺志を継ぎ、”カントリー・ロック”サウンドでカントリー界に新風を吹き込む。80年代にはクイーンの名を欲しいままにし、その地位を確固たるものにしたのである。だが、安住しないのが彼女の凄さ——90年代に入ると怒涛の快進撃を開始する。前述の『レッキング・ボール』に続き、キャリア史上最高のバンド、スパイ・ボーイズをバックに従えたライヴ・アルバム『スパイ・ボーイ・ライヴ』をリリースした。そして00年には、5年ぶりのスタジオ録音作『レッド・ダート・ガール』を発表。前作同様、幽玄美溢れる傑作となったのだ。
一所にとどまらない冒険心と新しいものを貪欲に取り入れるプログレッシヴな感性をもったエミルー・ハリスのナンバーはカントリー・ファン以外も……いや、ロック・ファンにこそ聴いて欲しいと願うのである。

制作協力:
OKMusic

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