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ザ・ジャムやブルース・スプリングスティーン、果てはフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドまでもがカヴァーした反戦歌「ウォー/黒い戦争」(70年)。この偉大な曲は男性ソウル・シンガー、エドウィン・スターによって生み出された。彼の、ツバを飛ばすがごとくシャウトするストロング唱法は、命なき今もなおソウル・ファンを魅了して止まない。
65年にデビューしたスターが全国的な知名度を得るのは<MOTOWN>と契約してから。69年にリリースした「25マイル」では、ジェイムズ・ブラウンのミニマル・ファンクと同レーベル特有のタイトなビートの融合に成功。そこにダイナミックかつディープなヴォーカルを乗せた珠玉のノーザン・ソウルは、スマッシュ・ヒットを記録した。そして70年に、無類のファンク・プロデューサー=ノーマン・ホイットフィールドを迎えた前述の「ウォー/黒い戦争」をリリース。当時反戦運動が盛り上がりつつあったUSの社会情勢を色濃く反映させ、ヒット・チャート1位を獲得した。ところが、ヒット歌手/グループを大勢抱える<MOTOWN>はスターを冷遇し、「ウォー/黒い戦争」のリリースを境に彼の人気は下降線を辿ることになる。
しかし、その後ディスコ時代が訪れても、スターの魂の咆哮はまったく衰えを見せず、新しいビートに挑戦しながら彼は気炎を吐き続けた。80年代にはUKに拠点を移し、ハウス/ユーロ・ビートで有名なストック、エイトケン、ウォーターマンをプロデューサーとして迎えて12インチ・シングルを多数リリース。90年代に入るとドイツを中心に活動し、インディーズよりアルバムを発表。——どんなに時代が変遷しようとも、「歌えるところあれば場所を厭わず」のアティテュードには脱帽せずにいられない。偉大、エドウィン・スターにはそんな言葉がしっくりくる。
そうだからこそ、03年にファンを急襲した訃報は、非常に多くの悲しみを生んだのだ。

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