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イードンは音に魔力を潜ませるサイケデリックなサウンド・クリエイターである。さらにイードンは、音楽シーンに革命を起こさせるようなギミックを自身の音に詰め込む“アンダーグラウンド・レジスタント”でもあるのだ。
05年現在までに『プリミティヴ・プラス』(02年)と『ビューティ&ザ・ビート』(05年)という2枚の傑作アルバムをリリースしているイードン。彼は自身の作品で、サンプリングというヒップホップの美学であり伝統的トラック制作手法を用いながら、シュールでスペイシーだがどこか素朴で温かみのある音世界を作り上げた。その音世界が持っているのは“ノスタルジー”という言葉である。つまり、これらの作品に見られる粗削りなビートとレトロかつフレッシュなネタ使いは、ヒップホップの黄金期とされるオールド〜ミドルスクール(80年後期)へのオマージュに満ちたものなのである。イードンは、この時代のマニアっぷりを包み隠さず自身の作品に描写しているのだ。
しかし勘違いして欲しくない。自分の作品のなかにイードンは、単にノスタルジーや懐古主義を押し出していたわけではなく、ソウルやフォーク、ロック、プログレッシヴ・ロック、さらには日本の童謡までもをネタとして取り込んでしまうという、アヴァンギャルドかつフレキシブルなオリジナリティをドロリと抽入していた、ということ。彼は特異なユーモア性とバックパック的ヘンタイ性を起因として、常に未来性(新奇性/実験性)にアプローチするサウンドを提示しているのだ。それこそが、このイードンが“天才”や“アンダーグラウンド・ヒーロー”と呼ばれる由縁なのである。彼は温故知新の意味をシーンに改めて問いかけるとともに、既存のルールと現状の価値観に揺さぶりをかけているのだ。
イードンという名のナードな音楽革命家は、いつでも聴き手の想像の枠をブチ破るギミックいっぱいのサウンドを届けてくれる。このヒーローは、いつだって聴き手の心をときめかせてくれる。

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