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ハード・バップ・トランペッターの代名詞のようなドナルド・バード。クリフォード・ブラウン(以下ブラウニー)とリー・モーガン(tp)がいたために、いつも二番手に語られるが、実力は本物。むしろ彼こそハード・バッパーだ。前出の2人は特色がハッキリしてるぶんクセもあるが、いちばんオーソドックスなのがバードだと思う。
最も“旬”だったのは50年代。黒人音楽のルーツをありありと感じさせる演奏をしている。豊かで艶やかなトーンにメロディックで無理のないスムースなフレージングは、まさに正統派トランペッターといっていい。『バード・イン・パリ』(58年)のバラード曲「スターダスト」などは感涙ものだ。他の曲でも、異国の地で熱狂的に迎えられたことに応えるように、メンバー全員が吹っ切れたプレイを聴かせてくれる。また、テーマをユニゾンで吹きながら、どこかクールな感じを醸し出すハード・バップの典型的なサウンドを体現していたのも彼だ。特にペッパー・アダムス(bs)とのコラボレーションは気持ちいい(60年の『ハーフノートのドナルド・バード』は最高)。60年代以降は作曲法や社会問題などを学び(かなり研究熱心)、それまでの創造力を生かした演奏から学問によって得たものを音楽として表現するようになっていった。
そして、今でも彼は健在である。短命だったブラウニーやモーガンの後をついで、彼がハード・バップの語り部となったのだ。この息の長さ(?)が、いまひとつカリスマ性がでなかった理由かもしれないが……。でも、素晴らしい足跡をのこして、長生きして———幸せですよね、それって。

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