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全てのレゲエのルーツはスカに帰する。そしてそのスカをひとつのジャンルとして昇華させたミュージシャンこそ、このスカタライツであるといえよう。イギリスからの独立気分が高まるジャマイカで新しく生まれたスカを、陰に日なたに支えたスカタライツのメンバーは、驚くべきことにスタジオ・ミュージシャンの寄せ集め集団であった。そのため、何千というレコーディングを残したものの、録音ごとに若干メンバーが異なると言われている。
主要メンバーは、サラ・ボーンをして、世界で5本の指に入るプレイヤーといわしめたドン・ドラモンド(トロンボーン)、トミー・マクック(テナー・サックス)、ローランド・アルフォンソ(アルト・サックス、ソプラノ・サックス)、ジョニー・ムーア(トランペット)、ロイド・ニブス(ドラムス)、ロイド・ブレヴェット(ベース)、そして近年再評価の高まるジャッキー・ミットゥー(キーボード)。いずれもジャマイカン・ミュージックシーンを代表する強者ぞろいだ。彼らはコクソン・ドッド有する<スタジオ・ワン>レーベルのお抱えバンドであり、ザ・ウェイラーズ、ロード・タナモといった<スタジオ・ワン>所属シンガーのバック・バンドを務めた。
しかし、類いまれなる才能が結集したこのバンドは単なるバック・バンドに飽き足らず、次々とバンド名義のインストゥルメンタル作品を発表。スペシャルズもカヴァーした「ガンズ・オブ・ナバロン」「エル・プッシー・キャット」「マン・イン・ザ・ストリート」などがジャマイカはもとよりイギリスでもヒットを記録した。
もともと、ジャズやR&B畑のミュージシャン集団である彼らの音楽は、曲によってクールでジャジーなものから、ポップなシャッフル、ラウンジ・テイストなものまで、実に幅広いスタイルを使い分けている。しかし、メンバー内の確執も有り、63年の結成からわずか2年足らずで解散。ローランドと袂を分かったトミーとドンは、敵対するレーベル<トレジャー・アイル>へと移籍してしまい、スカタライツという名前はシーンから姿を消すことになる。
その後、日本での再結成ライヴが実現し、ローランドは日本のダブ・バンド、ミュート・ビートと共演も果たした。さらに近年のスカ・ブームに乗じてスカタライツ再評価の気運が高まり、日本のスカ・バンドによるスカタライツ・トリビュート・アルバムが制作されるなど、彼らの残した素晴らしい音楽が、今なお世界中に深く根を下ろしていることを証明している。

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