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ドン・バイロンは摩訶不思議なアーティスト。90年代初頭、どこからともなくフッと出現して、クラリネットを自在に操り、奇妙な音空間を開いてみせた。その節操のないナンデモ屋ぶりは、多種多様の音楽に通暁している証拠といってイイ。リーダー作をみても、デューク・エリントンからシューマンまでを視野に入れた『タスキージー・エクスぺリメンツ』(90年)、カリビアン・ミュージックを再解釈した『ミュージック・フォー・シックス・ミュージシャンズ』(95年)、そして<ブルー・ノート>レーベル移籍後、70's強力ソウル/ファンク・バンド、マンドリルやジミ・ヘンドリックスのナンバーを取り上げた『Nu Blaxploitation』(97年)など、多彩を極める。
また、クラリネットという楽器の選択も面白い。この楽器はクラシックは当然ながら、ジャズにおいてもスウィング/バップ/フリーに至るまで、さまざまなスタイルで使用された歴史をもち、温かみ/包容力を感じさせる音色が魅力だ。そして、多次元的感覚をもつバイロンがクラリネットを操ることによって、すべての音はジャンルの壁を超越、微妙な音程のズレさえもフリーキーな雰囲気をうみだす。それはたとえるなら、キッチリと整理された部屋ではなく、木がフンダンに使われ、どこか生活感のある部屋——といった趣きだ。
あらゆる音楽のエッセンスをゴチャゴチャに混濁、新しいモノを創造する現代の錬金術師は、「ぐへへ」といいながら(?)、更なる芸術品を完成させようとし続けている。

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