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グライムという音楽をご存知か? UKで生まれたこのグライムは、クランクなどのUS発祥メインストリーム・サウンドとダンスホール、ドラムンベース、UKガラージ(2ステップなど)などの美味しいとこを雑食的に取り込み、ひとつの鍋でグツグツと煮込んだようなサウンドである(例えであり、成り立ちではない)。それはUKが誇るもっともエナジェティックな音楽であり、時として、UKが手にした世界に誇れる初めてのオリジナル・サウンドとしても認識されているのである。
グライムという名前を広めた第一人者がいる。グライム界の貴公子、それがディジー・ラスカルだ。学生時分、不良少年だったイースト・ロンドン出身のこのひとりっ子は、社会へのフラストレーションとやり場のないパワー(性欲)を音楽活動へと昇華させた。それは学校のコンピュータでピコピコと作ったトラックに、自らラップを落とし込むというプロセスで完成するものである。その後、ロール・ディープ・クルーとともに音楽活動を始めたディジーは、UKアンダーグラウンドでは知る人ぞ知る逸材として、着実に人気を集めていたそうだ。そして、デビュー・アルバム『ボーイ・イン・ダ・コーナー』(03年)が発売される。グライムを標榜したこのアルバムは世界的に好セールスをマーク、グライムというUKアングラ・サウンドをメジャーへと押し上げることとなったわけだ。ちなみにマーキュリー音楽賞をも獲得したこのアルバム『ボーイ・イン・ダ・コーナー』をリリースした時、ディジーは弱冠18歳(19歳の説あり)だったのだから驚異的である。もちろん、グライム・サウンドの新奇性やセンセーショナル性と同等に、ディジーのリリシスト性があったからこそ果たされた偉業であろうが。さらに、04年には2nd『ショータイム』もヒットさせている。
05年以降、UKで地下活動していたグライム・アーティストが、この新世代のスター=ディジー・ラスカルが獲得したパブリシティのお陰で白日のもとにさらされつつある。どうやらグライム・シーンのスケールは想像以上に膨らんでいた模様だ。もはや、おっつけないほどのリリース量である。とはいえ、日本に入ってくるグライムものは極一部なのだが。

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