Deborah Coxの記事・ニュース・画像一覧

ソウルフルな歌唱ながらもその洗練された佇まいにより、アクの強さ（つまりは“クロさ”）をそれほど感じることはない。ブラックの女性シンガー、デボラ・コックスのことである。95年のデビュー・アルバム『センティメンタル』では、ミディアム〜スローを中心にポップス・フレイヴァー溢れるR＆Bサウンドに乗せて、耳なじみのよさを前面に押し出した歌声を披露。それ続く98年の２nd『ワン・ウィッシュ』においては、より表現の幅が広がったヴォーカル・ワークを展開した。特に、切なさを湛えたスロー・バラードは、聴くほどに惹き込まれてしまうものだ。また、シンコペーション・トラックを取り入れるなど、彼女は時流の音を計算に入れた面も見せている。
流行り廃りの激しいコンテンポラリーR＆Bシーンにおいては、一部の例外を除き、実力とポップ性を兼ね備えたアーティストが生き残る。果たして02年作『モーニング・アフター』は彼女のキャリアにとってどういう意味を持つアルバムになるのか。