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「こりゃ、勝てんわ」——テナー・サックス奏者、デヴィッド・マレイの生演奏を、初めて聴いたときに受けた印象である。巨体を活かした全てを包むような瑞々しいビッグ・トーン/溢れ出んばかりのスピリット/次々と湧き出るイマジネーション豊かなフレーズ……。目の前で繰り広げられる音世界に、ただただ呆然としていたのを覚えている。ジャズのルーツは黒人だということを、まざまざと見せつけられるのだ。爆裂のごとき最低音から、際限なく伸びていくフラジオ音(通常運指では出ない特殊音)まで、演奏可能な全ての音を活かして表現するアヴァンギャルド・ミュージック。アルバート・アイラー(ts)に影響を受けたものだと評されるが、既にオリジナリティを確立したと言っていいだろう。また、表現形態もソロ/デュオ/コンボからビッグ・バンドまで、あらゆるフォーマットを精力的にこなしている。中でも、76年に結成したサックス・アンサンブル、ワールド・サキソフォン・カルテットは世界的に有名だ。
76年の初リーダー・アルバム『フラワーズ・フォー・アルバート』以来、数え切れないほどの作品を発表してきたマレイ。現在では日本のレコード屋<ディスク・ユニオン>の主宰する<DIW>レーベルに在籍している。ココから90年にリリースされた『デヴィッド・マレイ・スペシャル・カルテット』の「イン・ア・センチメンタル・ムード」は是非聴いてもらいたい。シンプルでメロウなテーマからどこまでも突き進んで行く、彼の冒険心と精神性が凝縮されたナンバーだ。

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