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ミュージシャンはオーディエンスを失う危険を覚悟で変化を遂げる。ファンは変化よりも、親しみのある音を好むからだ。デヴィッド・ボウイはそんな危険をものともせず、大胆に変化を繰り返すあまりに、ファンは彼を許すどころか反対に崇拝してしまった。「スペース・オディティ」以前の奇妙なフォークから、ファンクに徹した「ファッション」、ティン・マシーンの情緒豊かなハードロックなどなど……ボウイは常に変化してきた。そしてすでに30枚以上のアルバムをリリースしている事実を考慮すれば、多少スランプに陥った時期があったとしても文句は言えない。また、アルバム『ジギー・スターダスト』や『ハンキー・ドリー』など、方向性を変えるたびにボウイは冴えた音楽センスを光らせてきた。「ロックン・ロールの自殺者」や「クイック・サンド」などで率直な姿を見せたと思えば、人工的なソウルの「ヤング・アメリカン」で芝居がかったところを見せるなど、彼は常に謎めいた存在だといえる。