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息をするのも忘れる——。モノ凄い集中力と緊張感で怖いくらいのオーラを発し、黒い海原のように静かな声で、内に秘めた孤独感を表現するカサンドラ・ウィルソン。熱いファンク・ビートであろうと音数少ないストレート・アヘッドなジャズであろうと、その演奏の“間”を浮遊するディープ・ヴォイスには、マイルス・デイヴィス(tp)に通じる気迫がこもっており、聴衆を含めた空間すべてを魅了/支配するのだ。
83年にN.Y.へ進出し、M-BASE理論(変拍子の多用/調性の緩和など、フリーに近いムツカシイ音楽)指導者、スティーヴ・コールマンのバンド“ファイヴ・エレメンツ”に参加。メロディよりアドリヴを重視する器楽的唱法で一大センセーションを巻き起こした彼女は、ダイアン・リーヴス、ダイアン・シューアと共に女性ジャズ・ヴォーカリストの“新御三家”と賞賛される。
86年にはM-BASE派メンバーの協力を得て、初リーダー・アルバム『ポイント・オブ・ビュー』をリリース。以後、スタンダード・ナンバーを集め伝統と前衛を融合した『ブルー・スカイ』(88年)、10代の頃に親しんでいたジョニ・ミッチェルなどのフォーク・ソングを取り上げ、ジャズ・ファンを驚かせた『ブルー・ライト』(93年)と、常にアプローチを変化させながら作品を発表していく。そして、背筋がゾゾッとするほど暗いアルバム『ニュー・ムーン・ドーター』(95年)でグラミー最優秀ヴォーカル賞を獲得し、時代をリードするヴォーカリストの地位を築き上げたのだ。近年ではマイルス追悼アルバム『トラヴェリング・マイルス』(99年)が好セールスを記録、日本でもゴールド・ディスク大賞に輝いている。
都会的な冷たさを内包した歌声を“気持ちイイ”と感じるのは、僕だけだろうか?

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