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言わずと知られた元ロキシー・ミュージックのミスター・ダンディズム、ブライアン・フェリー。ステージ上の彼はいつもトランス状態、他人の思惑(迷惑?)などはまったく気にせずひたすら自分自身に酔いしれる。しかし、こと自作品においてはナルシシズムのワナに陥ることなく、ヘヴィで暗いテーマもあくまでも美しく聴かせる才人だ。また日本では、過去に発表したナンバーが突然ドラマの主題歌(例:キムタク主演ドラマ『ギフト』に起用された「トーキョー・ジョー」)やTV CFソングに起用されたりと、なにかと話題が途切れないアーティストでもある。
ロキシー在籍時の73年に初ソロ・アルバム『愚かなり、わが恋』を発表。これはボブ・ディラン、ビートルズ、ローリング・ストーンズらといった大御所から、かなりマニアックな50sロック・ナンバーまでを収録したR&B/ロック色が濃厚なカヴァー・アルバムだが、選曲の妙/ひきつったようなヴォーカル・スタイル/シンプルだが垢抜けたアレンジメント——が三位一体になった秀作だ。これから“フェリー道場”の門戸を叩く人は、ぜひともこの作品辺りから押さえて欲しい。
その後もコンスタントに作品を発表しているが、ブラック音楽(ブルースや南部産R&B、16ビートが華麗なインプレッションズ風ソウル・ナンバーなど)を内包しながらも、あくまでも都会の匂いを放つ『いつか、どこかで』(74年)、『レッツ・スティック・トゥゲザー』(76年)なども必聴すべき名作だ。
そして、ロキシーにおいて『アヴァロン』という凄まじいクオリティの最高傑作を完成させたフェリーは、ソロでも『ボーイズ・アンド・ガールズ』(85年)で決定的な新境地を開拓。「スレイヴ・トゥ・ラヴ」「ドント・ストップ・ザ・ダンス」で見せた、艶かしくも気だるい、心琴を揺さぶるような不可思議な感触……。さらに薄暗いモヤの中から立ち上ってくるような低音ヴォイスに、多くの婦女子が瞬時にして魂を射抜かれたのであった。
『ベイト・ヌワール』(87年)や『タクシー』(93年)といった作品も、多少センチではあるが、「中年オトコのカッコよさとはなんぞ?」という命題に応えてくれる快作品。数多のくたびれた中年男性たちもこのフェリーを見習って欲しいものですよ、ホントに。

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