『ぼっち・ざ・ろっく!』や『BECK』のルーツ? “元祖・ロック漫画”『ファイヤー!』の魅力
※本稿には『復刻版 ファイヤー!』(水野英子/文藝春秋)の内容について触れている箇所がございます。同作を未読の方はご注…
"真っ赤なほっぺにネルシャツとメタルT"というもろグランジ少年なルックスでありながら、"アコギ片手にブルース・ハープ"(=フォーク)、でも"ラップ+ブレイクダンス"(=ヒップホップ)——といった「なんじゃコイツ!?」なスタイルでシーンに登場したベック(本名ベック・ハンセン)。94年のデビュー・シングル「ルーザー」の「オレは負け犬だー♪」というフレーズが、ニルヴァーナ「スメルズ・ライク・ティーン・スピリッツ」に取って代わり、全オルタナ・リスナーのアンセムとなったのである。
以降、2ndアルバム『オディレイ』(96年)がグラミー賞(アルバム・オブ・ザ・イヤー)を獲得し、グランジ以降のUSオルタナティヴ・シーンをメインストリームに留まらせた功績は天晴れ。これはフレキシブルな作曲センスと、どこか肩の力の抜けた佇まい、果てはクサイほどあからさまなエンターテインメント精神によるものであろう。
『メロウ・ゴールド』(94年)でのローファイ、『オディレイ』でのヒップホップ、『ミューテイションズ』(98年)でのフォーク/カントリー、『ミッドナイト・ヴァルチャーズ』(99年)でのファンク/ソウル/ディスコ、さらには実験音楽やブルースにまでその食指をのばし、ステージでは少年のような顔をしてギンギンのカントリールックで観客を煽動——見ていて、聴いていて、実に痛快な彼のポピュラリティは、アメリカという歴史に裏付けられたすべての音楽スタイルを非常に高次元なポップ理論で解釈・還元している点に帰結する。だからこそ、彼のキャッチーなメロディはキッズを魅了し、老練ですらある作風は全音楽リスナーを唸らせるものなのだ。
※本稿には『復刻版 ファイヤー!』(水野英子/文藝春秋)の内容について触れている箇所がございます。同作を未読の方はご注…
バンドマンをテーマにした漫画は少なくないが、中でも圧倒的にバイブルとして親しまれているのはハロルド作石による『BECK』だろう。…
ハロルド作石の名作『BECK』は多くのバンドマンから愛されている、バイブル的存在だ。音楽好きの作者による作品らしく、登場するキャ…
自らの黒歴史として隠蔽したいもののひとつやふたつは誰にでもあるだろう。だがしかし、そいつを若気のいたりと恥じながら心の箪笥の奥底…
NHKの連続テレビ小説『まんぷく』で、新たなハマり役を得たように思える桐谷健太。ムードメーカーな商社マン・世良勝夫役としてたびた…
BECK 7月22日、23日、24日に新潟の湯沢町苗場スキー場で開催される、ロックフェス『FUJI ROCK FESTIVAL…