Basic Channelの記事一覧

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93年に、正体不明な一枚の12インチ・レコードがテクノ・シーンで波紋を呼んだ。それは、どこに針を落としても同じフレーズが延々と繰り返され、全く変化が無いものであった。
——その、薄暗くディープなミニマル・テクノの発明者は、80年代に活躍したジャーマン・ニューウェイヴ・バンド、パレ・シャンブルグに在籍していたマウリツィオ・フォン・オズワルドであることが後に判明する。靄のようにフィルターがかかったアブストラクト・サウンドは、瞬く間にシーンを席巻し、無数のフォロワーを生み出した。リリースされた全ての作品が傑作といえるが、なかでも「Phylyps Trak II」(94年)、「MO 4」(95年)はテクノのみならずディープ・ハウス・シーンでも爆発的な人気を博し、いまだにクラシックとして崇められている。95年には<Chain Reaction>とレーベル名を変え、さらに恍惚感を追求したダビーなミニマル・サウンドを展開。これは、もはや90年代エレクトロニック・ミュージックの究極といっても過言ではない。——変化は聴く者の内に訪れるのだ。

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