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Art Pepper

(アート・ペッパー)

『鬼平犯科帳』をご存知ですか? 中村吉衛門の出演していた——。人間味溢れる時代劇でなかなか人気がありました。洒落てることにエンディングが”ジプシー・キングス”というクラシック・ギターのアーティストでして……その選曲眼にホロっときていたものです。ある日、いつものように観ているとバックで流れる音楽が全てジャズではありませんか。さらによく聴くと、全編アート・ペッパーの『モダン・アート』というアルバムだったのです。ペッパーの温かくて、でもどこかもの悲しい感じは非常に時代劇とマッチしておりました。
何故かペッパーは日本人に人気があります。どこか彼の世界に“わびさび”に似たものを感じるためなのでしょうか? 出しゃばりすぎず引っ込みすぎず、少しだけ主張しながら、最後には優しくなだめるように終わるフレーズ。うん、女だったら奥さんにしたい(笑)。特に50年代にそのような傾向があり、人気を博しました。スタン・ゲッツ(ts)やジェリー・マリガン(bs)と肩を並べてウエストコースト・ジャズの旗手となりえたのです。
そのままでいれば良かったものの、しかし彼も人の子——麻薬に手を染めだし、刑務所暮らしを余儀なくされてしまいます。だが、心も体もボロボロになりながら、70年代に何とか復活。ただ、前の彼とは別人になってました。音も尖り、プレイ自体もアグレッシヴ/フリーに接近。そして、そこには前にもまして非常に強い意思が感じられるようになっていたのです。
一般的にペッパーといえば、50年代が人気ですが、70年代の作品——人生の苦渋を舐め、悩んだ末に演奏しているような音楽も是非聴いてもらいたい。逆にそこにペッパーの人間らしさが感じられるのだから……。
1925年カリフォルニア州パサデナ生まれ——1982年6月15日死去。

制作協力:
OKMusic

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