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口をダラシなくボケッとあけたまま、まるで玩具とじゃれるようにドラムを叩く。その様はまるでおサルさんだ——なんて言ったら、アート・ブレイキー・ファンに怒られるかしら? 
刺激的なシンバル・ワークや、「ナイアガラ爆布」と形容されたバス・タムの豪快なロールが特徴の、本能丸出しドラマー。もって生まれた煽情的プレイでソリストをプッシュしまくり、ジャズ史上最も“ホット”なプレイを繰り出していく。特にホレス・シルバーとの相性は良く、二人で演奏をはじめると何処までも高みに昇りつめていくのだ(54年の『バードランドの夜』)。
また、バンド・リーダーとしての功績も大きい。ハード・バップの代名詞的バンド「ジャズ・メッセンジャーズ」を55年に結成し、彼が亡くなる90年まで、その高い人気とクオリティを保ちつづけた。コレだけ長く続いたのは、ひとえに彼の協調性の賜物だといえる。その人柄は演奏面でも発揮され、メンバー/サウンド全体の調和を常に考え、単に演奏しやすいビートを呈示したことが、熱気溢れるプレイに昇華したと言ってイイ。
また、タダ熱いだけではないのが不思議なトコロ。「モーニン」を聴いてみよう、そこには知的クールさも同居している(ブレイキーはかなりの勉強/読書好きであり、「三島由紀夫」も愛読していたらしい)。怒涛のドラミングが目立つ彼だが、時に応じては緻密な変化に富んだ演奏もできるのだ。言うなれば、“「静と動」をしなやかに表現する、愛すべきドラマー”——それがブレイキーである。

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