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自然回帰/ブラックとしての誇り/反政治的なメッセージというさまざまなトピックス(信条)を掲げるアレステッド・ディヴェロプメント。彼らは92年にアルバム『テネシー(遠い記憶)』でデビューを果たし、同年のグラミー賞でベスト新人賞など2部門を獲得する(そのアルバムのセールスは700万枚とも)。
中心人物であるスピーチのラップは、優しく語りかけるような口調で解放的なイメージを生む。それは、ネガティヴな状況をプラス思考に転換させるようなパワーを秘めているかのようだ。また、生楽器を中心に展開されるオーガニック・サウンドは、リリックの重いテーマとは裏腹に澄みきった青空を連想させる爽快感とスピリチュラリティに溢れていた。そのトラックにおいて、サンプリング・ソースはソウルをメインにしているが、彼らの守備範囲はジュニア・ウェルズ、バディ・ガイといったブルースにまで及び、渋めなスパイスを効かせたトラック群で他のアーティストと一味違ったプロダクション・センスを見せつけた。つまり、彼らは自身のサウンド・プロダクションにおいて、ヒップホップ、ファンク、ブルースなどの旨味を凝縮させ、巧みにまとめ上げているのである。05年には約4年ぶりのアルバム『アマング・ザ・ツリーズ』もリリースしその底力を見せつけたが、どうやら現在のアレステッド・ディヴェロプメントは実質スピーチのソロ・ユニットの体裁らしい。
——テクノロジーが目まぐるしく進化していく社会に相乗して人間味の薄れてゆく現代こそ、彼らのような自然を感じさせる淀みないサウンドに耳を傾けるべきではないだろうか?

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