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数多くのソウル・パフォーマー(あるいはダイナ・ワシントンのような優れたジャズ・ブルース・シンガー)のなかで、情熱的なゴスペル歌唱をアメリカのポピュラー音楽に取り入れることに成功したのは、アレサ・フランクリンをおいて他にいない。彼女はその神聖なる息吹きで、天国にまで届かんばかりの(ある種異端な)サウンドを生み出してきたのである。
しかし、彼女は自身が影響を与えた現代のディーヴァ(歌姫)たちとは違い、そのパフォーマンスはけして過装飾にはならず、ハイセンスさと繊細さの域を越えることはない。それは、彼女の絶頂期である60年代後期、<ATLANTIC>時代のアルバムで証明されているだろう。アレサの声は凄まじいほどの気品に溢れているのである。例えば、オーティス・レディングが受ける尊大なリスペクトを、黒人として、そして女性としてのプライドを込めた永遠の“聖歌”に変えるなんて、いったい誰がマネできるというのか。この“聖歌”は、今やミドルクラスの白人たちにさえ愛されている。
アレサの歌は時代を越えて、そして人種の隔たりをも超越して愛されてきた。その偉大な才能の華はけして枯れることはない。そのことは、ゴスペルとヒップホップを見事にひとつにまとめ上げたアルバム『ア・ローズ・イズ・スティル・ア・ローズ』(98年)を聴けばすぐに理解できるだろう。現在もなお、アレサ・フランクリンは音楽シーンに欠くことのできない偉大なミュージシャンなのである。

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