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労働者による労働者のためのロックンロール・バンド。石橋凌のカラッカラに渇ききった、それこそ魂こがしたシャウティング・ヴォーカルといい、田中一郎のソリッド過ぎるまでにシャープなギター・カッティングといい、彼らはある意味、長い日本のロック史においても最も大きな財産のひとつではないかと思う。
80年代前半はライヴ・ハウスを中心に、闇雲なまでにエネルギッシュなライヴでいくつもの伝説を作る。よもやの田中一郎脱退後もひるむことなくアルバムにツアーに全力投球、結成10周年で初の武道館公演を実現させるなど、愚直なまでの「ロック馬鹿」ぶりで疾走。後期には浅田孟や白浜久を配し音楽的にも内実深く、大人としての含蓄をも携えた新次元のロックンロールに辿り着くも、いったん解散。
石橋凌はしばし俳優業に専念するが、若い世代を巻き込んでの復活待望論は後を絶たず、遂に98年再始動。復活第1弾『リアル・ライフ』は過去のどの作品よりも好セールスを記録、10年ぶりの武道館公演も敢行するなど、全身全霊賭けた彼らのロック一直線ぶりに、今また改めて評価が集まりつつある。 (小池清彦)