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ウェスト・サイドが誇る才能、そして伝説、エイシーアローン(エース)。贔屓目ではなく、世界一のラップぢからを持つこの達人MCは、ウェスト・サイド・アンダーグラウンド・シーンを形成させた、ウェスト・アングラ系譜の頂点に位置する立役者グループ=フリースタイル・フェローシップのメンバーである。
このグループからいち早くソロ・マイカーとしてデビューしたエースは、95年に1stアルバムにして傑作『オール・ボールズ・ドント・バウンス』を発表。このアルバムでエースは、巧妙なラップ、知性的かつアンチ・マテリアリスティックなリリック、映像を喚起させる無二の表現力、多彩な表情を見せるフロウ、聴き取りやすく通る声など、自分が誇る豊かな才能まざまざと見せつけた。そのタレント性に溢れるファッションやクールなヴィジュアルも含めて、このMCが世界最高であることを、少なくとも筆者は疑わない。その後、2nd『ア・ブック・オブ・ヒューマン・ランゲージ』(98年)、プロジェクト・ブラウドの同胞にして知己のアブストラクト・ルードと結成したA・ティーム名義作『フー・フレイムド・ジ・A・ティーム?』(00年)を挟んだ3rd『アクセプティッド・エクレクティック』(01年)、4th『ラヴ&ヘイト』(03年)と順調にリリースを重ねていく。
またトラックにおいてエースは、正統派なヒップホップ・トラックから深遠なアンダーグラウンド・トラック、果ては変則的なアブストラクト・トラックまで、いろいろと選出した。だが、エースのラップはどんなサウンドとも渾然一体に溶け合う。どんなトラックにも加藤鷹のごとく、うまく乗りこなす。そう、エースは全盛期の加藤鷹みたいなスキルを持つラッパーである。とはいえ、エースのラップ・スタイルに必死さや気負いはまったくなく、突き通されるのはフリー・マインドなマイペースっぷり。その結果か、いずれの楽曲も親しみやすさのある出来映えとなっており、ラップ音楽の入門編として充分に機能するものだろう。
何度でも言おう。エイシーアローンは全ヒップホップ・シーンにおいて至高の存在であり、宝であり、そのラップ・スタイルは既に究極なのだ。もっともっともっと、聴いて欲しい。

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