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999は初期ロンドン・パンクには欠かせない名脇役だ。メロコアやファン・パンクが人気を集めるいまこそ、彼らのポップでユーモアに富んだカラフルなロックンロールは見直されるべきだろう。言ってみれば典型的なB級パンクだが、曲作りのセンスや演奏力など、侮れない力をもっていたのである。
77年に結成された4人組。中心人物のニック・キャッシュはパブ・ロック時代からの生き残りで、元教師だったイアン・デューリーの教え子だったという。イアンのバンド、キルバーン&ハイ・ローズにキース・ルーカス名義で参加もしている。
バンド名はイギリスの緊急用電話番号をあらわしているが、クラッシュの歌詞(「ロンドンズ・バーニング」)からとったという。とはいえ999の音楽にはクラッシュのようなシリアスなメッセージなどほとんどない。とぼけたユーモアと諧謔のセンスを漂わせるお気楽路線である。
自らのレーベルから1枚シングルを出したあと<UA>とメジャー契約、78年にアルバム『999』をリリース。同じ年に2nd『Separates』、80年に3rd『The Biggest Prize In Sport』を発表するが、この初期3枚は彼らの最高傑作であるばかりか、数あるロンドン・パンクのレコードのなかでも代表作と言えるだろう。パワフルでエネルギッシュ、かつポップでカラフルなロックンロールは、いまでも古びていない。
バンドは紆余曲折を経ながらも、現在も地道に活動中。レコードもコンスタントに出しており、98年の『Takeover』は近年の傑作として評価されているが、やはり重要なのは前記3枚のアルバムだろう。 (小野島 大)

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