KAT-TUNメンバー分析 第2回:上田竜也、進化し続けてきた表現者 多方面で発揮されるセルフプロデュース力

 上田は、自身に求められているキャラクターを理解している。だからこそ、ときには「ぶっとばす」といった一見すると物騒な言葉も飛び出すのだが、実際はSNS上でも「マジで良い奴」であることが世間にしっかり認知されているからこそ、バラエティとして成立している(こう述べるのは少々、営業妨害かもしれないが)。これは上田自身が長い時間をかけて着実に得てきた信頼だ。時折こぼれ落ちるやや不器用な部分も、魅力的なギャップとして光る。

 ジャニーズ公式サイト「Johnny’s web」内での不定期連載『龍組』においても、そのワードセンスでファンを楽しませる。時折、ファンから募った質問に回答する企画が開催されるのだが、これが毎回、見事に面白い。上田とファンの信頼関係ゆえに成せる、秀逸なコンビネーション芸だ。ファンから寄せられるユーモラスなメッセージを上田はバッサバッサと斬っていくのだが、時折デレてみせるのもずるいところ。一本筋が通った上田の正義感や倫理観に、学びを得ることも少なくない。

 バラエティセンスの良さ、独特の語彙、頭の回転の速さ、空気を読む力は、本来の性質であるとともに、常に「KAT-TUNのために」「自分の成長のために」を汲み取ってきた上田だからこそ磨かれたものではないだろうか。

 充電期間前には「ファンの方々には笑っていてほしい」(※1)、充電期間中にも「KAT-TUNのことしか考えていない」「KAT-TUNとして中丸と亀梨の応援もよろしくお願いします」(※2)と、言葉にしていた上田。大切な場面ではいつも、KAT-TUNとファンへの愛をまっすぐに伝える。ラップやダンスに磨きをかけたことや、ワイルドに振り切ったセルフプロデュースは、世間が抱く「KAT-TUN」というブランドを守り抜くためだったのではないかと、ふと思う。上田の想いを邪推したくはないが、そうして力をつけていくことでいくつもの大きな仕事を成し遂げ、唯一無二のキャラクターとなった今。「KAT-TUN 上田竜也」が広く世間に認知され、求められ、輝いているのは、紛れもない事実である。

 とても綺麗な曲を書くこと、甘い声で歌うこと、運指を覚えて奏でる、努力の賜物であるピアノの音色、人を信じ動物を愛する優しい一面ーー上田は、起爆準備OKな隠し玉をいくつも後ろ手に持っている。そしてこの先もきっと、進化し続ける。

※1:『KAT-TUN 10TH ANNIVERSARY LIVE TOUR "10Ks!"』挨拶にて
※2:『炎の体育会TV』にて発言

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