スピッツ『花鳥風月+』、アルバムチャートで好調 身体性豊かなボーカルが体現する“ロックのダイナミズム”とは?

参照:https://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2021-09-27/

 2021年9月27日付のオリコン週間アルバムランキング、首位は桑田佳祐の初となるミニアルバム『ごはん味噌汁海苔お漬物卵焼き feat.梅干し』で推定売上枚数は97,190枚だった。続く2位はスピッツが1999年にリリースした“スペシャル・アルバム”に楽曲を追加してリイシューした『花鳥風月+』(19,911枚)で、3位にはファイナルファンタジーXIVのサウンドトラック『Death Unto Dawn: FINAL FANTASY X IV Original Soundtrack』(11,521枚)がランクインした。

 ほか、トップ10圏内の新譜としては、5位 TrySail『Re Bon Voyage』(8,150枚)、6位 V.A.『ジャックジャンヌ VOCAL COLLECTION』(7,782枚)、8位 EXIT『GENESIS』(6,604枚)、9位 桜内梨子(逢田梨香子)from Aqours『LoveLive! Sunshine!! Second Solo Concert Album ~THE STORY OF FEATHER~ starring Sakurauchi Riko』(4,582枚)、10位 V.A.『TVアニメ「東京リベンジャーズ」EP 02』(4,332枚)があった。

 今回取り上げるのは、2位のスピッツ『花鳥風月+』。前述した通り、もともとは1999年にリリースされた“スペシャル・アルバム”で、オリジナルアルバムには収録されなかったシングルのB面曲や、他のアーティストへの提供曲のセルフカバー、未発表音源などをまとめた1枚だった。今回の『花鳥風月+』では、もともとの『花鳥風月』では一部の楽曲のみ収録にとどまっていた、インディーズ盤『ヒバリのこころ』の楽曲が全曲フルバージョンで収録されている。

スピッツ / ヒバリのこころ

 ……という本作の性格上、作品自体を論じるというのはいささか難しい(スピッツのキャリアにとことん通じているならばまた話は別だろうけど)。しかし、何の気なしにアルバムを聴いてみると、思った以上に「しっくりくる」のに驚く。90年代から00年代にかけて10代を過ごしていると、なんだかんだでスピッツのサウンド、草野マサムネのソングライティングはじんわりと身体に刷り込まれているものなのだろう。

 一方で、その「しっくり」感のなかには心地よい違和感が漂っているのに気づく。気になり始めると「なんだこれ?」とどんどん気になっていく。クセになる。具体的に言うと、それは譜割り、つまりメロディと言葉の関係が醸す妙さだ。

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