堂本剛&堂本光一が育んできたKinKi Kidsの世界像 信頼関係から生まれた合作曲の歴史を振り返る

 6月17日に発売決定したKinKi Kidsの42ndシングル『KANZAI BOYA』が、話題沸騰中だ。この曲は、堂本剛がKinKi Kidsとなる前のユニット名「KANZAI BOYA」を想って突如閃いて作った楽曲。ファンクなサウンドに合わせて2人が歌とダンスを披露し、堂本光一がジャニー喜多川氏に扮する場面もあるエンターテインメント性溢れる作品となっている。

 同曲の作詞作曲を剛が手掛けているように、KinKi Kidsの楽曲を剛と光一が制作することも少なくない。しかも、それらを振り返れると着実に変化し続けていることが分かる。そこで、『KANZAI BOYA』のリリースにあたり、彼らの楽曲制作の歴史を振り返ってみたい。

 KinKi Kidsの2人が初めて作詞作曲を手掛けた合作曲は、9thシングル表題曲の「好きになってく 愛してく」だ。同曲は2人が出演していた『LOVE LOVE あいしてる』(フジテレビ系)内の企画から誕生した曲。光一いわく「良く言えば『全部だきしめて』のアンサーソング」と『LOVE LOVE あいしてる』内で紹介していたとおり、さわやかなJ-POPになっている。作詞を剛、作曲を光一が手掛けているが、吉田拓郎をはじめとするLOVE LOVE ALL STARSも制作に大きく関与しているとあり、フォークソングっぽさも感じられる。明るく前向きで老若男女から好かれる王道ソングであり、まだ“KinKi Kidsらしさ”は色濃くない(もちろん素晴らしい楽曲であることは言わずもがなだが)。

 2017年に放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で、KinKi Kidsらしさを問われた剛が「第三者が勝手に決めてるんですよね、僕らのことを。皆、その謎解きを一生懸命やろうとしてるけど、僕ら的には何も考えてない」と答えたことがあった。しかし、その番組内では名だたるアーティストたちが2人の楽曲を分析。光一自身が「(しいて言えば)何を歌っても暗い曲になるのがKinKi Kidsらしさ」と言っていたように、何も考えていない中でも溢れ出る“哀愁漂うドラマチックさ”は、確固たるKinKi Kidsらしさなのではないか。

 それがより色濃く出始めたのは、13thシングルの『Hey! みんな元気かい?』B面に収録されている「愛のかたまり」だろう。「好きになってく 愛してく」以来の合作曲であり、今もなおファンからの人気がとても高い曲だ。前述した『関ジャム』によれば、同曲は光一の「KinKi Kidsとしてこういう歌(ドラマチックでメロディが綺麗な曲)のほうが良いんじゃないか」という反骨精神から生まれた曲。いわば、KinKi Kidsらしさを出していくターニングポイントとなった曲と言える。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる