アンジュルム、メンバーそれぞれの“個性”を尊重する姿勢 リスナーを夢中にさせる魅力に迫る

 「アンジュルムにいて私は、“あ、みんな違っていいんだ”ってすごく気付かされて。それもまた、当たり前のことなんだけれども、そういったことを忘れがちだったなと思って。そんなことを気づかせてくれたみんなには、本当に感謝しています」

アンジュルム『輪廻転生~ANGERME Past, Present & Future~』(通常盤)

 2019年6月18日。日本武道館で行なわれた自身の卒業コンサートで、アンジュルムの初代リーダー・和田彩花は、他のメンバーに向かってこうコメントした。その言葉を聞いたとき、自分がなぜアンジュルムに惹かれているのかわかったような気がした。

 アンジュルムは、モーニング娘。と同じハロー!プロジェクトに所属するアイドルグループだ。もともとは「スマイレージ」という名前で2010年にメジャーデビューした。オリジナルメンバーは前田憂佳、福田花音、小川紗季、そして上記した、初代リーダーの和田彩花の4名。

 スマイレージ時代は、つんく♂プロデュースだった彼女たち。4人とも明るく可愛くスタイルがよく、ちょっと生意気だけどクラスの人気者といった、キラキラした雰囲気をまとっていた。持ち歌も「夢見る 15歳」「あすはデートなのに、今すぐ声が聞きたい」「スキちゃん」など、ローティーンの等身大の恋心を歌った可愛いものが多かった。

 その後、前田憂佳、小川紗季の卒業に伴い、2期メンバー(竹内朱莉、中西香菜、勝田里奈、田村芽実)が加入した。個性豊かでスキルフルな2期メンバーの存在がつんく♂のクリエイター魂に火をつけたのか、この時代は「チョトマテクダサイ!」「ヤッタルチャン」「ええか!?」など、一見コミカルだが実はものすごく高度なテクニックを要するスルメ曲が、多数発売された。

 しかし、楽しげな楽曲のラインナップとは裏腹に、この頃のスマイレージは活動が低迷。CDアルバムは3年間でたったの1枚、ホールツアーが開催できず地方のライブハウスを回るなど、本人たち曰く「暗黒期」に突入していた。

 そんな中、2014年に3期メンバーとして室田瑞希、佐々木莉佳子、相川茉穂が加入。それに伴いグループ名を「アンジュルム」に改名し、つんく♂のハロプロ総合プロデューサー退任の時期も重なり、独自路線を歩んでいくこととなる。改名後初のシングルは『大器晩成/乙女の逆襲』。文字通り、苦労を乗り越え大器晩成した彼女たちの“逆襲”が、ここから始まったのだ。

 改名以降の楽曲は、スマイレージ時代とは打って変わって、ギミック一切なし、ストレートな熱い“雑草魂”系ソングが続いた。「臥薪嘗胆」「七転び八起き」「出すぎた杭は打たれない」……など、タイトルを列挙するだけでその勢いは伝わってくるだろう。

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